憧れの車
先日、”休日の”私たちは朝早くから隣県に赴いていた。仕事の打ち合わせや用事ではない。では何故男二人で早朝から隣県へ向かったのか?
自分たちが将来目標としている車を見に行くためだ。
車好きにとって憧れの車、将来乗りたい車というのは人生の目標と言い換えてしまっても遜色ない。なぜならその乗りたい車は大体が成功者にならなければ手にすることが叶わないものだからである。
Ferrari
高級車・スーパーカーと言えば真っ先に名前が挙がるのがフェラーリである。最近ではランボルギーニと人気が拮抗してたりするのかもしれないが、私はとにかくフェラーリが好きである。
フェラーリを購入するということは単に所有する、乗るということではなくフェラーリというブランドの見せる世界観そのものを購入することだと私は考えている。といってもこれは高級車各メーカーに言えることなのだが、例えば毎日の通勤退勤に華を添えてくれること、都市を走れば注目を浴びること、またスーパーカーオーナーでの集まりや新たな出会いがあること。これら全てはフェラーリ基スーパーカーを購入することで得られる体験である。
そしてMR特有の配置とあの流線的なライン、スーパーカーらしいと言ってしまえばそれまでなのだが流石はイタリア、芸術的なものを感じずにはいられない。
私はフェラーリの中でも先日公開された296GTB, GTSが特に刺さっており、かなり本気で欲しいと思っているがまだまだ実車を拝むことはできないのでそれはまたいつかの機会にとっておくとしよう。
今回は488GTB, 488spider, Romaそして幸運なことにSF90 stradaleを拝むことができた。 Romaは内装まで見せていただいて、SF90は丁度納車説明を受けていたところらしくエンジン音まで聞くことができた。実際に近くでフェラーリを見る機会なんてこれまで無かったため、終始圧倒されてしまったが担当の方が凄く良い方で沢山お話させていただいた。その会話の中で気になっていたことをいくつか質問させていただいたのだが、得られた情報が以下の通りだ。
・フェラーリは残価が7割くらいあるため頭金を出せれば月々そこまで払わなくても乗れるということ
・上記のため3年ごとに乗り換えている人が多いとのこと
・新車をオーダーしてから来るまでの間に中古で買って繋ぎにしている人がいること
・しかしローンの審査はそれ相応に厳しいとのこと
これを聞いてどう思うのかは人次第なところもあると思うが、私は率直に
「あれ、フェラーリって結構身近な存在なのかも?」
と思った。もちろん頭金だけで大体の車は買えてしまいそうな値段になりそうだがそれを差し置いても残価率7割は驚異的である。後にも先にもフェラーリ以外で聞くことはないだろう、価値が落ちないとは聞いていたがそこまでとは思わなかった。
そして一括で購入していくことが殆どだと思っていたのでローンを組む人が大半であったのにも驚いた。三年ごとに新車に乗り換えていることを考えるとまあ納得がいくが、私たちのような一般的な人間からすれば少しハードルが低くなったような気がしないこともない。とは言ってもやはり普通に働いていてはそのローン審査にも通らないのは明白である。やはり行動していく必要がありそうだ。
友人の憧れに同伴したら考えが変わった
ASTON MARTIN
友人の憧れの車はASTON MARTIN、当初は彼一人での来店予約だったのだがスタッフの許可もあり私も中に入れることとなった。
まず最初に正直に言おう。私はそこまでアストンマーティンというメーカーに興味を抱いていなかった。フェラーリやランボルギーニのような攻撃的なスタイル・デザインが本当に好きだからだ。しかしその考えもこの想定外の入店、たった一時間ほどの時間で完全に覆されることとなる。
ディーラーはなんというか佇まいがディーラーというより美術館のそれに近い感じであった。中に入ってみても外観からのイメージ通り、スタッフの対応やインフォメーションからは高級ホテルの様な雰囲気さえ感じる。
並べられていたのはDBS super leggera, DBSが二台にV8 Vantage, DB11の計6台。アストンマーティンはなんとなく紳士的なイメージというか大人しいイメージが強かったのもありよく調べたことがなかった。
代表的なモデルすら頭に入れない状態での実車見学となったのだが、入店しDBSを見た時私の中で何か崩れる音がした。何かそれは一目惚れのようなものであり、フェラーリ一強であった私の思考が崩れ去った音である。初見でここまでビビッと来るものがこれまであったか?一度だけある、今所有しているDucati パニガーレV4を見たときと同じだ。完全にしてやられたのである。
逆に言えば先入観だとか前提知識が一切ない状態だったからこその刺さりようだったのかもしれない、色々話をしながらDBSの内外装を見ていくと全体的に控えめでありながら、インテーク等細かいところのデザイン、内装の一部はドライカーボンであり機能的なところ、まさしく紳士の様な佇まいには惚れずにはいられなかった。
何より驚いたのがドアを開けたときバタフライドアの様に真横ではなく少し斜めに上がるところである。話を聞くところ乗り降りのしやすさはもちろんのこと、足を綺麗に見せるためでもあるんだとか。なんだかさりげなく凄くずるいことを言われた気がする、また惚れた。
神は細部に宿るだとか、能ある鷹は爪を隠すとか細かさや謙虚さに重点を置いた言葉は多くあるがアストンマーティンはそれらの集大成の様な車だとも思えた。性能や独特なスタイルを全面に押し出している他社と違いアストンマーティンは住む世界が違うのは間違いないだろう。
限りなく上品、この一言に集約できる。
これを書いている時も目を閉じるとDBSで出勤する朝が浮かんだりする。やはり完璧に落ちた。そんなこんなで予約していた本人に負けじと楽しませていただいたのだが、視野は広く持ったほうが良いということも再認識させられた気がする。どちらにせよ彼がいなければ私はDBS・アストンマーティンに出会うことはなかったのかもしれない。ありがとう友人、そしてディーラーのスタッフ。
目標を実際に見ることの重要さ
この日は私と彼の車人生において大きな岐路となる一日となっただろう。
やはり目的だとか目標はできるだけ具体的な方が良いし、こうやって実物を見れるのならば見るのが得られることが多いのは間違いないだろう。言葉や文字と比較し経験・体験では得られる情報量がまるで違う。それが嫌でも覚えるし良いものなら尚更記憶に残る。
今回の場合、私のような若造が足を踏み入れるには少々勇気がいる場所に朝から時間と安くない移動費をかけて臆せず迎えたのは、確実に得るものの方が多いと思ったからだ。
もし私と同じように将来スーパーカーに乗りたいとか、車に限らず何か大きな目標を持っている人は一度実際に目標とするものを見てみることを強く勧めたい。モチベーションの向上に繋がるうえに将来のビジョンをより明確とすることができる。
案外気持ちの面やイメージトレーニングも人生には大切だ。